君のスガタ

「…亀本先輩。私が礼を言うべきなのに言わせてしまってすいません」

 私は亀本先輩に頭を下げる。

 亀本先輩はえ? と目を丸くしていた。

「何、言ってんの。私は本当に感謝してる。ねぇ、みんなそうでしょ?」

 亀本先輩は周りにいた先輩たちに声をかける。

「そうだよ。柚がいたからここまでやれたんだよ」

 比佐先輩は私の両肩をポンと置いて、メンバーに目を合わせていた。

 他の先輩達も同意して、私をハグするように囲んだ。

めぐみもギャル三人組も両腕を広げて、それぞれ一人ひとりの思いを私に口にした。頑張ったね、お疲れ様などの声が沢山聞こえてきた。

「うぅうぅ、ありがとうございます」

 私は目から涙がゆっくりと頬に落ちてきた。

 私は恵まれてる。メンバーや先生にも。

 頑張ったかいはあったかな。

 泣き止んだ私は自分の左右の腕をめぐみや比佐先輩の首に回して、バスに乗った。

 そのあとは覚えていない。

 バスに乗って座ったら、そのまま寝てしまった。

めぐみが起こそうと声をしたものの、目が開かなかった。

 開けた瞬間、見えたのは誰かの背中だった。

 私は顔を左右に振り、周りを見渡した。