君のスガタ

「一本!」

 比佐先輩はさっきほどよりも声のトーンを高くして最後の一本をメンバーに言う。

 メンバーも一本と図太い声で最後の掛け声をする。

「一本!」

 メンバーの声とともにサーブが放たれた。

 敵チームからのサーブは回転が鋭くて、取るのは正直難しかったが、私は今までの練習を生かしてなんとかとれた。

 そこから、先輩達やめぐみがレシーブやトスをして、粘りに粘って比佐先輩がレシーブをしたが、敵チームが勝った。

 敵チームと向き合って、ありがとうございましたと言って、相手と手を合わせて、試合は終了した。

敵チーム2対1で負けた。

「みんな、よく頑張ったな。強いチームとよく粘りに粘って点数取った。負けたのは事実。だけど、一人ひとりの成長が見えた。特に、阿部。亀本の代打、よくやった。みんな今日はよく頑張った。お疲れさん」

 柳暗先生はメンバー一人ひとりに健闘を称えて、その場を去った。

「柚、今日は助かった。ありがとう」

 亀本先輩は私の方に歩み寄り、礼を言ってきた。亀本先輩に礼を言うのは私の方なのに最初に言われてしまって、情けない。