君のスガタ

 私は結局、レギュラーには入れなかった。

 補欠の一人だ。練習を何回もして、ダメだったんだ。

 レギュラー決めの際、柳暗先生は間をおいてからバレー部のメンバーに低めな声で言い放つ。

「最後は…めぐみ」

 柳暗先生はバレー部のメンバーを見渡して、大きい声を出した。

「阿部柚。頑張ってたのは分かる。けど、おしかったな」

 柳暗先生は私のことを見て、うんうんと微笑んで心配そうに眉を下げた。

「はい…」

 私は下を向いて、唇を噛みしめた。

 悔しかった。あんなに練習しても…

 床が見えるくらい下を向いてしまうほど悔しくて。めぐみに話しかけられたが、無視をして、女子トイレに逃げ込んだ。

「ううぅうぅ…」

 私はトイレに入って、目が腫れるほど泣いた。ただただ、悔しかった。

 バレー部のメンバーからは何も言われなかった。言っても、慰めにならないと思ったからだ。

「阿部」

 私は柳暗先生に呼ばれた。

「はい」

 返事をして、柳暗先生の元へ駆け寄った。

「阿部。コンディションどうだ」

「はい。大丈夫ですけど。どうしたんですか」

 私は柳暗先生に心の中でなんだ? 具合でも悪いのかと思い、聞いた。