君のスガタ

「松永先輩は月ですよ、私からしたら。みんなはどう思っているか分かりませんけど」   

 私は松永先輩の少し涙目になっている目を見つめる。

 その目は信じがたいような本当に言っているのかということを訴えているようだった。

「本当ですよ、松永先輩」

 私は微笑んだ。

 言葉で伝えても信じないなら、行動で示すしかない。

「そうか……」

 松永先輩は微笑んだ私に笑って、声を発していた。

歩道に立って話をしていた私達は人通りが多くなり、通った人達はこんな真ん中で何してんだと言っているかのような表情を浮かべていた。

「ここで話すならどこかのカフェで話しましょうか」

 私は周りを見ながら、松永先輩に提案する。

「いや……一言だけ言わせて」

「なんですか?」

「俺は前に柚に会ったことあるんだ」

 松永先輩はそう言いながら、私の手を見つめてからじゃあと手を振って去ろうとする。

「…待ってください!」

 行こうとする松永先輩に駆け寄り、手を掴んだ。

「…もう帰っていいんだよ。俺のことは気にしなくていいんだよ」

 松永先輩は私の方を振り返り、切なくてやるせない思いをしているように見えた。