君のスガタ

 歩道を歩いていたが、街灯が複数あり、人も仕事帰りの社会人や塾で頑張っている子達など疲れた顔をしていたり、必死で問題を解いている顔などいろんな表情がこの町にある。

「だって、俺なにした?」

 戸惑いながら松永先輩は私と接した時の出来事を思い出していた。

「私、松永先輩のイメージで月って表現したじゃないですか。それを怒っているのかと思って…急に黙ったじゃないですか」

 私は目を合わせずに伝える。

 松永先輩は前髪でかき分けて、考え込んでいた。

「…えーと、違う、違う。誤解、誤解」

 松永先輩は全力で左右に振り、違うと否定していた。

 私達は歩道で立ち止まって言葉を交わす。

「違うんですか。じゃあ、なんで黙ったんです? 言わないと分からないですよ」

 私は目を逸らしている松永先輩に問いただす。

 街灯が光り輝く中、車が渋滞しているのかおい、お前早く行けよとクラクションを鳴らしていた。

「……俺のこと、月って言ってたよな。その例えに驚いたんだよ。あんなこと初めて言われたから」

 松永先輩は私から目を逸らして、言葉を返した。私に伝えた彼は私と目を合わせた。