君のスガタ

 ボサボサ頭はかいたせいで、髪は少し立ったが、微笑んでいた。

「松永先輩はそれじゃ、月ですよね。どこにいても松永先輩は私の中まで見ようとしてくれますよね。私が見てなくても、知らないところでも知っている。松永先輩はそんな感じが先輩らしくていいですよね」

 私は松永先輩の方を向いて、すかさず声を上げる。それに驚いた松永先輩は私の方を向き直して小さい声で発した。

「…そ…んなこと…」

「なんて……」 

 私の方を向いてから何か呟いていた。

 私は何を言っていたのか分からなかったので聞き返した。

「…いやなんでもない」

 私の方から前に向き直して、歩き始めた。

 先に歩いてはいたが、きちんと私が歩いているのをちらっと後ろを振り向き、確認してきた。

 なぜかさっきよりも距離感がある気がする。

 あまりにも私が思っていた松永先輩と違かかったのかそれで松永先輩怒っちゃった。

「…すいません」

 私は前を歩いていた松永先輩に頭を下げた。

「え? なに急に」

 松永先輩は後ろを振り返り、目を丸くした。