相会い傘歌

さてと、今日は気分がいいから、少し寄り道して帰ろうか。


なんてことを思いながら、昇降口で靴を履き替える。

あの時以来ずっと持ち続けている折り畳み傘。

それを鞄から取り出して下駄箱を通り抜けると、不意に視界の中に人影が現れた。


「……!」

「……」


男の子だ。

多分一年生だろう。

まだ(しわ)一つ無いブレザーを折り目正しく、重苦しそうに着た男子生徒が、空っぽの傘立ての前を所在なさそうに立っていた。


彼は私の登場に驚いたようにこちらを見つめている。

私も驚いた。

というか、合点(がてん)がいった。