私は雨が好きだ。 こんな日は2年前の、あの幸運な雨の日を思い出す── あの後、あの気だるそうな先輩と一言も交わすことなく駅までの道を歩いた。 あんな至近距離に年上の男子がいた経験は、それまでに無く、緊張と人目が気になって喋るどころじゃなかったからだ。 小さな傘の下で隣を歩く彼の体温が、やけに生々しく感じられたのを覚えている。 彼は駅に着くと、持っていた折り畳み傘をそのまま私に預け、恐縮して遠慮しようとする私を振りきり、颯爽と改札をくぐっていった。