相会い傘歌

みるみる顔が熱くなり、自然と手で顔を覆ってしまう。

早くなった鼓動が五感を明瞭にしていくと、雨の(存在)が大きくなった気がした。


しとしと…と。

ジメジメ…と。


お互いに何も言わない数秒間のあと、私は手で顔を覆ったままゆっくりと(うなず)いた。

ひょっとすると、彼にはそれがただ(うつむ)いただけのように見えたかもしれない。

私は手を顔からどけて、改めて彼の問いに答える。


「はい…、盗られました」

「……」


ため息一つ。

吐く音が聴こえた。