親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

そう言って、ルシフェルさんは服のポケットから1枚の紙を取り出して僕に差し出す。

それを受け取って広げてみると、そこには、この世界に来るまで毎日使っていた言語が並んでいた。

……この紙で勉強していたのだろうか。僕がこの世界に来る1時間前に勉強したところだ。

「……これ、高校で習ったところ……」

僕が呟くと、いつの間にか、さっきよりも近くにいたアーサーが「……なんか、難しそうだな」と呟いた。

「まぁ、ラウルが元いた世界では、僕らがいなくなってから1年は経っているらしいからね」

ティムの声が聞こえてきて、僕はティムの方を見る。すぐに、僕は紙に目を移す。

「……それで、手に入れた情報なんだけど。どうも、この件に禁術が絡んでいるみたいなんだよね」

久しぶりに聞いた「禁術」という言葉に、僕は顔を上げた。

「……禁術って、確か……使えないように封印された魔法のことでしたっけ?」

僕がそう言うと、ルシフェルさんは頷く。

「代々呪具を封印する家系があるように、禁術にも封印する家系があるみたいなんだよね。で、2年くらい前……俺が弦木黒斗と出会う少し前くらいかな。禁術魔法の1つ、異世界渡りの魔法が解かれたそうなんだよね……異世界を行き来するための魔法だそうだよ」