親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

「危ないから下がってろ」

誰かはそう言うと、腰に差さった剣を抜いて――って、剣!?

僕がそのことに驚いていると、誰かは剣を振る。剣と何かがぶつかり合う音がした。

少し間が空いて、動物?は去っていく。それを見届けた男性は、剣を鞘に収めた。

そして、くるりと僕の方を向く。彼は、金髪に青い目していて、結構なイケメンだ。

「お前、大丈夫か?」

「……はい。助けて頂き、ありがとうございました」

お礼を言って、僕は頭を下げた。

「……どうして、お前……こんな所にいるんだ?森の中に住んでいるわけじゃないだろ?かといって、この近くに村なんてないしな」

彼は、そう言って僕を見る。その目は、どこか警戒しているように見えた。

「……あの、信じてもらえるかは分かりませんが……実は――」

僕は、正直に簡単に経緯を説明する。保健室で拾った杖を、男性に見せた。

男性は、顎に手を乗せて何かを考え出す。

「……事情は分かったが、原因は僕には分からんな。その辺に詳しそうな奴を知っている……が、明日以降でもいいか?急だと、あいつらも困るだろうからな。悪いが、今日のところは僕の家に来い」

そう言って、男性は歩き出した。