「……八咫烏」
ルーチェが左腕を自分の前に出すと、何かの名前を呼ぶ。ルーチェの腕に、1羽の黒い……神鳥?のようなものが止まった。
「ルカさんたちに、モンスターを討伐したことの報告を」
『かしこまりました』
そう一言残し、ルーチェの腕に乗っていた黒い鳥はどこかへと飛んでいく。
……って、さっき鳥が喋らなかった?僕の気のせい?
「あ、そうだ。父様」
鳥が飛んでいったすぐ、ルーチェはくるりと後ろを向いて、ギルバートさんたちがいる方を向いた。
それをぼんやりと見ていた僕は、近くに何かが落ちているのに気づいて、近づく。
それは、何かの耳飾りだった。
小さな水色のひし形の下に、青いタッセルの付いた耳飾りが、一つだけ落ちている。
拾わなきゃ。誰かの落とし物かもしれない。
考えるよりも先に、自然と耳飾りに手が伸びた。本能が、拾わなきゃいけないと言っている。
「……ラウル、待って……それは……」
近くから、ルーチェの困惑したような声が聞こえる。
耳飾りに触れた途端、僕の目の前が真っ暗になった。
「――ル!――ラウル!!」
誰かに名前を呼ばれた気がして、いつの間にか閉じていた瞼を持ち上げる。
見慣れない天井が、目に入った。僕の視界に、白い髪の――ティムの顔が映る。
「……」
僕と目が合って、ティムは安心したように微笑んだ。
ルーチェが左腕を自分の前に出すと、何かの名前を呼ぶ。ルーチェの腕に、1羽の黒い……神鳥?のようなものが止まった。
「ルカさんたちに、モンスターを討伐したことの報告を」
『かしこまりました』
そう一言残し、ルーチェの腕に乗っていた黒い鳥はどこかへと飛んでいく。
……って、さっき鳥が喋らなかった?僕の気のせい?
「あ、そうだ。父様」
鳥が飛んでいったすぐ、ルーチェはくるりと後ろを向いて、ギルバートさんたちがいる方を向いた。
それをぼんやりと見ていた僕は、近くに何かが落ちているのに気づいて、近づく。
それは、何かの耳飾りだった。
小さな水色のひし形の下に、青いタッセルの付いた耳飾りが、一つだけ落ちている。
拾わなきゃ。誰かの落とし物かもしれない。
考えるよりも先に、自然と耳飾りに手が伸びた。本能が、拾わなきゃいけないと言っている。
「……ラウル、待って……それは……」
近くから、ルーチェの困惑したような声が聞こえる。
耳飾りに触れた途端、僕の目の前が真っ暗になった。
「――ル!――ラウル!!」
誰かに名前を呼ばれた気がして、いつの間にか閉じていた瞼を持ち上げる。
見慣れない天井が、目に入った。僕の視界に、白い髪の――ティムの顔が映る。
「……」
僕と目が合って、ティムは安心したように微笑んだ。



