親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

「……ルシフェルさんの言う通りだ。ラウルも、逃げた方がいい」

ルシフェル?どっかで聞いたことのある名前だ……じゃなくって!!

「ルーチェ、僕も戦えるんだけど……」

「……ラウル、武器持ってないでしょ?武器がないと、格段に威力が落ちるって話をしたよね?」

僕が持っていた杖が折れて無くなった次の日。ルーチェは、昔ルーチェが使っていたという杖をくれた。

その時に、ルーチェは威力が落ちるという話をしてくれた。

杖を持ち歩くという習慣がないから、家にルーチェからもらった杖を置いてきてしまった。

「……知っている、けど――」

僕が言いかけた時、すぐ近くで金属同士がぶつかる音がする。

音がした方を見ると、青みがかった黒髪の男性がモンスターの攻撃を受け止めていた。

「……ラウル、僕の近くにいてね。守れないから」

ルーチェに視線を移すと、ルーチェはさっきまで背負っていた杖を左手に持っている。

ルーチェの言葉に僕が頷くと、ルーチェは青みがかった黒髪の男性の方を向いた。



町に入り込んできたモンスターを倒した後、ルーチェは僕の方を向く。

「ラウル、大丈夫?怪我はない?」

ルーチェの問いかけに、僕が頷くとルーチェは「良かった」と安心したように笑った。