親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

「ルーチェ、後ろ」

僕がルーチェに声をかけると、ルーチェは「分かってる」と背負っていた杖を手に取る。

「……ルーチェ、俺の援護頼める?」

青みがかった黒髪の男性の言葉に、ルーチェは男性の方を見て「分かった」と頷いた。

「じゃあ、僕はルシ兄と一緒に怪我人がいないか見てくるね。ここは、クロードくんとギルバートくん、ルーチェに任せる」

青みがかった黒髪の男性の方を向きながら、紫の瞳の男性が言う。

「お願いします」

青みがかった黒髪の男性がそう返すと、紫の瞳の男性は僕らの方に近づいてきた。

紫の瞳の男性は、さっきまで僕と喋っていた男性の前で立ち止まる。

「ルシ兄、聞いてたでしょ?行くよ」

「……分かったよ」

そう答えて、男性は長椅子から立ち上がった。

……もしかして、さっき男性が話していた弟って……。

「……ねぇ、ルカ」

男性が、紫の瞳の男性に話しかける。紫の瞳の男性は、ルカさんというらしい。

「何?」

「……ううん、何でもない」

何かを言いかけた男性は、首を横に振った。

「そうだ。君も、早く逃げた方がいいよ。じゃあね」

男性は僕に向かってそう言うと、ルカさんの後をついて歩き出す。