親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

「……」

僕がどう答えていいのか悩んでいると、男性は「ありがとね」と呟いた。

「え……?」

「……色々と話せただけでも、少しスッキリしたかな。ごめんね、暗い話なんかしてさ」

「あ、いや……聞きたいって言ったのも、話を止めなかったのも僕ですし……謝らないでください」

僕の言葉に、男性は「……ありがと」と悲しそうに微笑む。

男性のその笑顔は、どこか今までの事を後悔しているように見えた。

僕がどう声をかけようか悩んでいた……時だった。

「モンスターだ!どこから入り込んできたんだ!?」

「うわぁぁ!!来るなぁ!!」

そんな声が、近くから聞こえてくる。

「ラウル!!」

僕の目の前に、1週間ぶりくらいに見るルーチェが着地した。その近くに、巨大な黒い鳥……カラス?が着地する。

そのカラス?の背中から、ギルバートさんとルーチェと同じ黒髪に紫の瞳の男性、そして青みがかった黒髪に緑の瞳の男性が降りてきた。

「ルーチェ!?」

僕が椅子から立ち上がると、ルーチェは僕に近づいてくる。

「たまたま、この近くに皆で来てて……この町にモンスターが入ってくのが見えたから来たんだ」

ルーチェと軽く会話をしていると、僕の視界にモンスターが映った。