親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

「……おい、ラウル」

色々と思い出していると、ギルバートさんが話しかけてくる。いつの間にか、机の上にはご飯が並んでいた。

「ご飯、出来たぞ。食べないのか?」

「いや、食べるよ。1週間前のことを思い出していただけ」

ギルバートさんにそう言って、ご飯を食べ始める。

「ふぅん……」

興味なさそうに返事をしたギルバートさんは、黙々とご飯を食べ始めた。ご飯の時間は、結構静か。これも、いつもの――。

「なぁ、ラウル」

ご飯の最中は、あまり喋らないギルバートさんが、話しかけてきた。

「ご飯食べたら、僕と一緒にウィスタリアに行かねぇか?昼からは用事があるから、一緒に行けるのは午前中だけだがな」

「ウィス、タリア……?」

「あぁ。ここから1番近くにある街の名前だ。僕の故郷でもある。ラウルもこの世界に馴染んできたようだしな。そろそろ街に行っても大丈夫だろうと思ってな」

「……そっか……僕、ずっと気になっていたんだよね。この世界の町の様子。行ってみたいな」

僕の言葉に、ギルバートさんは「決まりだな」と答えた。



ご飯を食べ終えて少しした後、僕はギルバートさんに連れられてウィスタリアに来ていた。

家から大分遠くて、ギルバートさんに懐いている狼型のモンスター……名前を、オリバーというらしい。オリバーに、ウィスタリアまで送ってもらった。