親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

「……あれ?杖は?それに、この感覚……」

「杖に封じられていた魔力が、ラウルさんに戻ったんですよ」

いつの間にか近くにいたアレンさんが、そう言った。

「え、アレン?どうして、アレンがこんなところにいるんだ?」

「あ、お兄ちゃん!久しぶりだね」

アーサーの姿を見るなり、アレンさんはアーサーに向かって手を振る。

ん?お兄ちゃん?

「あぁ、アーサーとアレンくんって、兄弟なんだよね」

状況を把握出来ずにいた僕に、ティムが説明してくれた。

「なるほどね。それで、アレンさん……さっきの言葉の意味を教えてほしいんですけど……」

「ラウルさんが持っていた杖は、ラウルさんの魔力を封印していたものでして……杖が壊れたことにより、封印されていた魔力が元に戻ったということです。詳しいことは、俺にも分かりませんが……まぁ、魔力が覚醒したってところですかね」

僕の魔力を、封印していた……?

アレンさんの言葉に何か引っかかったけど、アレンさんも詳しくは分からないと言っているし、今は聞かない方がいいのかもしれない。

でも、魔力が戻ったってことは……ルーチェの魔法薬を必要としないで魔法が使えるってことだよね?

……これからが楽しみだ。