親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

それを見たギルバートさんは、すぐにモンスターと距離を縮めるとモンスターに向かって剣を振り下ろす。

その攻撃が当たって、モンスターは空気に溶け込むように消えていった。

「……倒したな。しかし、何でこの地域にいないはずのモンスターがここに……?」

「分かりません。冒険者育成学校に、遠い地域にいるはずのドラゴンが来たのと同じ感じなのかな」

ルーチェとギルバートさんが話をしているのを聞きながら、僕はさっきの戦いを思い出す。

ルーチェの魔法、とってもかっこよかった。やっぱり、ルーチェはすごいや。あんな特大な魔法を連続で出せるんだもん。

……僕も、早く沢山の魔法を出せるようになりたい!

この間見た戦闘と同じような感情が湧き上がってくる。早くルーチェの作ってくれる魔法薬なしでも魔法を使えたらいいな、なんて考えていた時だった。

――パキン

近くで、何かが割れる音がする。急いで音がした方を見てみると、地面には僕の持つ杖の先端が落ちていた。

次の瞬間、ピカりと杖が光る。眩しい光に僕が思わず目を閉じると、今度は体に何かが駆け巡る感覚に襲われた。

……この感覚は、僕がいつもルーチェからもらう魔法薬を飲んだ時と同じ……もしかして、魔力……か?

光が収まってそっと目を開けてみると、僕が持っていたはずの杖は消えている。