親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

モンスターの姿を確認したアーサーは、バッとティムの方を見る。

「……どうするも何も、戦うか逃げるかの2択でしょ」

ティムは、モンスターから目を離さずに答えた。

モンスターは唸っているのみで、動こうとしない。逃げるなら、今のうちだろうか。

次の瞬間、モンスターの足元に紫に光る魔法円が浮かび上がる。魔法円から飛び出した紫に光る鎖が飛び出して、それがモンスターに絡みついた。

そのタイミングで、いつの間にかモンスターと間合いを詰めていたギルバートさんがモンスターに斬りかかる。

モンスターに絡みついていた鎖を壊して、モンスターはギルバートさんの攻撃を避けた。

「……おい!ルーチェ!これは、どうなっている!?」

それを見たギルバートさんは、空に向かって叫ぶ。僕が空を見上げてみると、空には、ルーチェがいつも背負っている杖を片手に浮いていた。

ルーチェの背中には、光の羽が生えている。

一瞬、僕の見間違いかと思った。ルーチェが、空を飛んでいるから。

でも、違うらしい。

「お、ルーチェ!」

空に浮かぶルーチェに向かって、アーサーが手を振っている。

ルーチェは高度を下げると、地面に着地した。その瞬間、ルーチェの背中にあった羽が消えていく。