親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

「……おー、元気そうだな。朝川雨琉」

赤い髪の男性は、僕に近づくとこの1か月間で聞かなくなった、僕の名前を口にした。

僕が驚くと、赤い髪の男性の後を追うように歩いてきた白髪の男性が「驚かせてごめんなさい……ちゃんと説明します」と僕に話しかけてきた。

「えっと、僕はティム・ラファールです。隣にいるのが、僕の幼なじみのアーサー・ウィリアムズ。僕とアーサーは、転生者で……僕の前世での名前は、七瀬和夢(ななせかずむ)で、ルーチェの前世である望月光の友だちでした」

白髪の男性――ティムさんは、自己紹介をした後に衝撃的な発言をする。

「……俺の前世の名前は、東雲旭(しののめあさひ)。和夢と光の友だちだ」

赤髪の男性――アーサーさんは、そう言って元気に笑った。

「……つまり、君たち2人もルーチェと同じように前世の記憶を持ったままの転生者で、光の友だちだったってこと?」

僕の言葉に、2人は同時に頷く。そして、ティムさんは「ちなみに、僕とアーサーはルーチェと同い年だよ」と付け加えた。

「なるほど……どうして2人はここに……?」

「ルーチェに、これを雨琉に……ううん、ラウルに渡すように頼まれて……」

ティムは、そう言って手に持っていた紙袋を僕に差し出す。