親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

「ラウル、大丈夫?」

ルーチェが、僕の方を見た。だけど、僕は何も答えない。

「……ラウル?」

ルーチェが、心配そうに僕の名前を呼ぶ。僕は、返事をしようとして、思わず「……すごい」と口にした。

「え?」

「さっきの、魔法だよね?僕も、あんな魔法を使えるようになりたい!」

ルーチェの魔法を見て、僕の気持ちが変化する。

心の底から、僕のやりたいことを見つけたような……言葉では言い表せないけど、表すとしたらそんな感じだろうか。

生まれて初めてだ。こんなに強く、やってみたい、こういう風になりたい。そう思うのは。

少し驚いた様子を見せたルーチェは、ふわっと優しく微笑む。

「なら、これからは猛特訓が必要だね」

優しく微笑んでいたルーチェは、今度はいたずらを思いついた時のような、悪い笑みを浮かべた。

「……お、お手柔らかに……」

「よし、モンスターも居なくなったし……そろそろ魔法の特訓に戻ろうか」

ルーチェの言葉に、僕は「分かった」と頷いた。



魔法の特訓が始まって、約3週間が経った。

魔法を出す感覚を掴んで、今はイメージとかしなくても、呪文だけで魔法を出せるようになった。

未だに、ルーチェが持ってきてくれる魔法薬を飲まないと魔法は使えないけどね……。