親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

ルーチェの説明を聞いた後、僕は深呼吸をすると目を閉じる。

ルーチェに教えてもらったように、魔力を操作してみると、思っていたよりも簡単で正直驚いてしまった。

うん、魔力の操作は簡単に出来る。次は、魔法を出してみよう。

頭に、魔法のイメージを思い浮かべる。ルーチェから、最初は出したい魔法のイメージを思い浮かべた方がやりやすいと聞いたから。

ゆっくりと目を開いて、僕は手に持っていた杖を構えて、杖先に魔力を込める。魔法を出すのに、集中する。

「ーー」

ルーチェから教わった呪文を唱えてみると、杖先に小さな火が灯った。

「……すごい。上出来だ……」

それを見たルーチェは、驚いたような顔をする。

「初めてで、そこまで出来るやつは珍しいな」

ギルバートさんも、ルーチェと同じように驚いた様子だった。

僕が魔力を込めるのを止めて、杖先に灯った火を消すと、どこからか唸り声が聞こえてくる。かと思えば、茂みからモンスター特有の赤い目をした動物のようなものが出てきた。

……特徴からして、モンスターだろうか。

「……ギルバートさん」

それを見たルーチェは、真剣な顔でギルバートさんの方を見た。

「……はぁ、お前……後衛タイプだもんな。仕方ねぇな」

ため息をついてからそう言ったギルバートさんは、腰に下げている剣を鞘から抜く。