親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~

それを少し見つめた後、僕は本を読んでいるルーチェに近づいた。

「ルーチェ」

僕がルーチェの名前を呼ぶと、ルーチェは本から顔を上げる。

「休憩、終わったよ」

僕が声をかけると、ルーチェはじっと僕を見つめた。そして、「……分かったよ」と開いていた本を閉じる。

「早速勉強を……って言いたいところなんだけど、今日はいつもと違うことをするよ」

そう言いながら、ルーチェは立ち上がった。

「今日は……というより、今日からラウルには特訓をしてもらう」

ルーチェの言葉に、僕が「特訓?」と首を傾げると、ルーチェは頷く。

「魔法を使えるようにね」

そう言って、ルーチェは微笑んだ。ギルバートさんは「魔法!?」と驚いたような声を出す。

「……僕、昨日出かけていた時に、アレンさんとお会いしまして……伝え忘れてたという神様からの伝言を聞いたんです。ラウルには、魔法の才能があるみたいで……ただ、ラウルの持つ魔力量はものすごく少ないみたいです。今のラウルには、簡単な魔法すら使えないくらいの量らしくて……」

ルーチェは、そう言ってから服のポケットから小瓶を取り出した。中には、淡い青色の液体が入っている。

「そこで!こんなものを持ってきました」