となり

「こんなに初対面の男の子と話したの初めてかも。」


ポツリといった言葉が陽斗の表情を少し曇らせた。

でもそれは一瞬ですぐ笑顔に戻った。

「やった!俺ら名前もはるなとはるとで運命的だしね!」

「前世は姉弟だったのかもね。」


ほんとにこんなに初めてあった子と会話が弾んだのは珍しい。


ガラガラっと勢いよく扉が開いてさっきのゴツい先生が入ってきた。


「お~!座れ座れ!」

みんなが会話をやめて一瞬で静かになる。

「このクラスを担任することになった松井です。一年間よろしく。担当は美術。」


え…?

みんなが目をパチパチさせた。

「先生体育じゃないんですか?」

予想外にそう聞いたのは隣りのクールな子。

「俺のどこが体育教師にみえる?」


「全部です。体育教師やるために生まれてきましたみたいな見た目ですよね。」

ぷっ!!!

思わず私は吹き出した。

2人して真面目な顔だから笑えて仕方ない。


「おい…えっと…相原!」

「はい!!」

怒られる?!と思ってピシッと背筋を伸ばしたら

「笑うときは大きな声で我慢せずに笑え。」


予想外の言葉に私がキョトンとしていたら

窓際の方で大きく笑う声が聞こえてみんなも一気に笑った。


「まあ俺は笑うのが好きだから遠慮すんな。とにかく一年間よろしく。」
ずっと真顔だった先生がニカっと笑った。


私は

このクラスになれてよかったって思った。