―― 6月中旬
先生は謎だ。授業中や休み時間、先生はたまに外を眺めている、ミステリアスな雰囲気を纏っていながら。雨が降っている日はずっと眺めている。私は何故かそんな先生を見つめてしまう。
「先生に質問です」
あの時1度飲み込んだ先生への疑問。私は聞いてみることにした。
「どうぞ?」
「なんで先生は儚い顔をするんですか?」
「そんな顔してた?てか緑ちゃん、僕のことよく見てるんだね、僕のこと好きなんだね」
そう言って先生は自分の顔周りを触る。そして私を見つめる。
「そんなこと、ないです...」
「ふーん、そっか」
そして私たちはしばらくの間仲良くお喋りをしていた。
ずっとこの時間が続いて欲しい。そう願っていた。
でも、現実はそんなに甘くなかった。
――梅雨の終わり頃
「今日で先生とはお別れです」
突然告げられた別れ。その日は全く授業に集中できなかった。
「緑ちゃん、今日1日元気なさそうだったね」
「うん」
「僕とお別れの日だから?」
「うん」
「へー、そうなんだ。緑ちゃんこれからどうするの?」
「1人で頑張ります」
私は俯きながらそういった。なにかを察したのか先生は心配そうに私に問う。
「緑ちゃん、大丈夫?」
「質問に答えて」
「うん、なに?」
「先生、大丈夫じゃないって言ったらこれからずっと一緒にいてくれる?」
泣きそうな顔で先生に尋ねる。すると先生は黙ってしまった。きっと返す言葉が見つからないのだろう。
「冗談ですよ、先生」
「なんだ、冗談か!びっくりするよ緑ちゃ――」
先生は驚いた顔で私を見つめる。
「泣いてるの、?」
気つけば大粒の涙が溢れ出ていた。泣くつもりなんてなかったのに、最後は笑ってお別れしようと思ったのに。
「泣かないで、緑ちゃん」
先生は慌てて私のそばに座る。そして背中をさすってくれた。
「泣かないで、笑って?」
「先生...私、笑えてますか?」
私は先生と笑ってお別れができるように頑張って口角を上げる。
「緑ちゃん僕ね―――」
「先生今なんて、声が小さくて聞こえませんでした」
先生の声が小さく、雨音にかき消されたため後半は何を言っているのか聞き取れなかった。
「なんでもないよ、聞こえなくてよかった」
先生はほっとした顔で私に微笑む。私が好きな笑顔、今ここでしないでよ。
下校時間。私は先生と一緒に門まで歩く。
「雨だね、今日で梅雨最後らしいよ」
「そうなんですね」
先生は雨を愛おしそうに見つめる。
「先生。とっくに私の気持ち気づいてましたよね」
「え、?」
「知ってたんですよね、先生」
先生は黙ったまま否定も肯定もしなかった。
「先生好きでした、さようなら」
「緑ちゃん...さようなら」
先生はまたあの顔で笑う。これで会うのは最後、この笑顔を見るのも最後。この恋も終わってしまう。
そうして私の恋は呆気なく、終わりを告げた。
先生は謎だ。授業中や休み時間、先生はたまに外を眺めている、ミステリアスな雰囲気を纏っていながら。雨が降っている日はずっと眺めている。私は何故かそんな先生を見つめてしまう。
「先生に質問です」
あの時1度飲み込んだ先生への疑問。私は聞いてみることにした。
「どうぞ?」
「なんで先生は儚い顔をするんですか?」
「そんな顔してた?てか緑ちゃん、僕のことよく見てるんだね、僕のこと好きなんだね」
そう言って先生は自分の顔周りを触る。そして私を見つめる。
「そんなこと、ないです...」
「ふーん、そっか」
そして私たちはしばらくの間仲良くお喋りをしていた。
ずっとこの時間が続いて欲しい。そう願っていた。
でも、現実はそんなに甘くなかった。
――梅雨の終わり頃
「今日で先生とはお別れです」
突然告げられた別れ。その日は全く授業に集中できなかった。
「緑ちゃん、今日1日元気なさそうだったね」
「うん」
「僕とお別れの日だから?」
「うん」
「へー、そうなんだ。緑ちゃんこれからどうするの?」
「1人で頑張ります」
私は俯きながらそういった。なにかを察したのか先生は心配そうに私に問う。
「緑ちゃん、大丈夫?」
「質問に答えて」
「うん、なに?」
「先生、大丈夫じゃないって言ったらこれからずっと一緒にいてくれる?」
泣きそうな顔で先生に尋ねる。すると先生は黙ってしまった。きっと返す言葉が見つからないのだろう。
「冗談ですよ、先生」
「なんだ、冗談か!びっくりするよ緑ちゃ――」
先生は驚いた顔で私を見つめる。
「泣いてるの、?」
気つけば大粒の涙が溢れ出ていた。泣くつもりなんてなかったのに、最後は笑ってお別れしようと思ったのに。
「泣かないで、緑ちゃん」
先生は慌てて私のそばに座る。そして背中をさすってくれた。
「泣かないで、笑って?」
「先生...私、笑えてますか?」
私は先生と笑ってお別れができるように頑張って口角を上げる。
「緑ちゃん僕ね―――」
「先生今なんて、声が小さくて聞こえませんでした」
先生の声が小さく、雨音にかき消されたため後半は何を言っているのか聞き取れなかった。
「なんでもないよ、聞こえなくてよかった」
先生はほっとした顔で私に微笑む。私が好きな笑顔、今ここでしないでよ。
下校時間。私は先生と一緒に門まで歩く。
「雨だね、今日で梅雨最後らしいよ」
「そうなんですね」
先生は雨を愛おしそうに見つめる。
「先生。とっくに私の気持ち気づいてましたよね」
「え、?」
「知ってたんですよね、先生」
先生は黙ったまま否定も肯定もしなかった。
「先生好きでした、さようなら」
「緑ちゃん...さようなら」
先生はまたあの顔で笑う。これで会うのは最後、この笑顔を見るのも最後。この恋も終わってしまう。
そうして私の恋は呆気なく、終わりを告げた。
