キミと踏み出す、最初の一歩。

*****


「……本当に大丈夫?」

「う、うん。大丈夫」

「無理しなくていいって言ったじゃん」

「でも、頑張りたいから」


翌朝、"友だち"から"彼氏"となった湊くんと一緒に、わたしは教室の前で深呼吸をしていた。

昨日クラスのみんなとあんな別れ方をしてしまったから、気まずくて仕方ない。

まずは昨日怒鳴ってしまったことを謝って、それからもう一度、湊くんが怖い人じゃないってことをわかってもらいたい。

時間はかかると思う。

もしかしたら全然うまくいかないかもしれない。

今までよりもっとクラスで浮いちゃうかもしれない。

だけど、このまま逃げ続けることなんてしたくないから。

わたしは絶対に諦めない。

それに、


「じゃあ、手繋ごうか?」

「え?」

「そしたら、安心できる?」

「……うん。ありがとう」


ギュッと繋いでくれたわたしよりも大きな手が、温かくて緊張をほぐしてくれるから大丈夫。

ガヤガヤしている教室のドアに、そっと手をかける。

隣を見上げると、わたしを安心させるように湊くんが微笑んでくれた。


「じゃあ、開けるね」

「うん」


ゆっくり、わたしはドアに手をかけた。

そして。


「お、……おはよう」


震える声で、わたしは湊くんと一緒に、新しい一歩を踏み出した。


──End.