「……俺、千春ちゃんのことが好き」

「え……?」

「千春ちゃんのこと、大好き」

「みなと、くん」

「友だちなんて関係じゃ満足できない。もっと一緒にいたい。ずっと一緒にいたい。最初はただ勉強教えてもらえるだけでありがたいと思ってた。だけど、今はそれだけじゃ無理。たりない」


ぶわ、と。

全身から熱が湧き出ていくような錯覚がした。

心臓がバクバクして熱い。

驚き過ぎて固まっているわたしに、湊くんは


「やっと言えた」


と笑った後に立ち上がり、わたしの目の前にしゃがみ込む。

そしてわたしの両手をそっと取って、わずかに下から見上げるようにわたしを見つめた。


「千春ちゃん」

「は、はい……」

「すぐに顔真っ赤にしちゃうところも、真面目で責任感が強いところも、自分のことは後回しで人のために勇気出すところも、俺のためなら叫ぶことができるところも、全部可愛くて全部かっこよくて大好きです」

「っ……」

「俺は千春ちゃんのためなら金髪なんてどうでもいいし、千春ちゃんがそれがいいって言うなら友だちも作る。だけど、隣には絶対千春ちゃんがいてほしい。だから、俺と付き合ってくれませんか」


控えめに繋がれた手が、ほんの少しだけ震えていた。

きっと、湊くんだってすごく緊張している。

それなのに、わたしを安心させるために笑顔でいてくれている。

こんなにも、幸せなことがあるだろうか。

ついさっき気持ちに気付いたばかりのわたしなのに。