「あれ、俺もそう思った」

「え?」

「友だち。俺も千春ちゃんだけでいい。千春ちゃんが俺のことをわかってくれてれば、それでいいなって思った」

「湊くん……」


ニカっと笑った湊くんにまた胸が激しく動き出す。


「千春ちゃんが俺のために怒ってくれて、嬉しかった。だけど、無理しなくていいんだよ」

「……無理なんてしてないよ」

「本当?」

「うん。言ったでしょ?湊くんが悪く言われてるのが耐えられなかっただけだもん」


わたしのことを脅してるとか、騙してるとか。

湊くんはそんな人じゃないのにって思ったら、身体が勝手に動いてたんだ。

後悔もしてないし、無理なんてしてない。


「……でも、俺が心配だから」

「心配?」

「うん。心配」


湊くんはわたしの頭を撫でる。

それが心地良くて、すっと目を細めた。


「俺のために何かしてくれるのはすごく嬉しい。だけど、それ以上にすごく心配になる」

「どうして?」

「それ、聞いちゃう?」

「え?」

「俺、結構アピールしてたつもりだけど……もしかして気付いてない?」

「な、にを……」

「……そっか、千春ちゃんって鈍感なのか……そりゃそうだよな」


湊くんは勝手にそう頷いていて、わたしはますます首を傾げる。


「俺、なんとも思ってない子のことお姫様抱っこしたりしないよ?」

「え……」

「ははっ。……ちょっとあっちの公園寄って行ってもいい?」

「う、うん。いいけど」


誘われるがまま、わたしたちは近所の公園に入った。