「……ごめんなさい。自分でも何が言いたかったのかよくわかんなくなっちゃって、ただのやばい人みたいになっちゃった」

「いや?俺は嬉しかったよ。まさか千春ちゃんがあそこまで俺のために怒ってくれると思わなかったから」

「だって……湊くんがわたしのせいで悪く言われてるって思ったら、耐えられなくて」

「それが嬉しかったって言ってんの」

「なんで……わたし、あんなのただのお節介だったのに」

「今まで俺のためにあそこまで怒ってくれる人なんていなかったから」

「え……」

「俺のことを大切な友だちって言ってくれたのが、かなり響いた。嬉しかったよ。ありがとう」


湊くんは未だ顔が真っ赤なわたしの頭を撫でて、笑ってくれる。

その姿は金髪から黒髪に変わってしまったけれど、やはりわたしには王子様のように見えた。

かっこよくて、綺麗で、優しくて。


……あぁ、好きだなあ。


そう思った時に、ドクンッ……と、胸が大きく高鳴って。

ドクン、ドクン……と湊くんを意識するたびに心臓は跳ねるみたいに動く。

ドキドキとした鼓動はどんどん加速していき、爆発してしまいそう。

息もうまく吸えなくて、思わず布団をつかんでおでこあたりまで引っ張って顔を隠した。

……もしかして、これが、"好き"ってこと?

もしかして、これが"恋"ってこと?

それに気がついてしまえば、もうこの気持ちを知らないふりなんてできそうもない。

す、好き……うん、そうだよ。わたし、湊くんのこと……好き、なんだよ。

布団の中でうんうん頷いて、どうにか自分を納得させる。

まだパニックになっていて他のことなんて何も考えられない。

だから、そんなわたしの様子を見て湊くんが嬉しそうに笑っていただなんて、全く知らなかった。