「ご、ごめんなさい!」


怒られる。そう思って急いでしゃがんでノートを拾うものの、手が震えてうまく持てない。

あんなに悪名高い川上くんの足に、あろうことかノートをぶちまけてしまうなんて……!?

わたし、殴られるんじゃ……!?


「白咲、大丈夫か?一度に運ぶ必要ないぞ」

「だ、だいじょうぶです……」


声をかけてくれる先生に適当に返事をして、わたしは早くこの場から立ち去りたくて急いでノートを集める。

……すると。


「──あんたは怪我してない?大丈夫か?」

「……え?」

「手震えてる。どっか痛めた?」


なぜか、目の前でわたしと同じようにしゃがんだ川上くんが、わたしの手を取った。

そしてわたしの顔を覗き込むように見つめてくる視線と目が合った瞬間。

そのあまりの綺麗な顔立ちに、時が止まったような気がした。

そういえば、川上くんの顔をまともに見たのは初めてのような気がする。


……こんなに綺麗な人だったんだ……。


キラキラとした金髪と、アーモンドみたいな形をしている目がすごく綺麗なイケメン。

まるで、王子様みたいだ。

そう思っているうちに、見とれてしまっていた。