キミと踏み出す、最初の一歩。

湊くんがそんな勘違いされて、怖がられて。

そのままでいいわけがない。

友だちなんて湊くんがいればいい?

それはただ、わたしが逃げてただけじゃないの?

その友だちが、わたしのせいで悪く言われている。

そう考えたら、いてもたってもいられなくて。

ガラ、と。教室のドアを開ける。


「でも同じクラスにあんな人いるとか怖すぎ──」

「お、おい……」

「え……?あっ……えっと、その……」


わたしが中に入ると、教室中が気まずそうにシーンと静まり返る。

そしてそそくさとわたしから目を逸らす。

まさかわたしに聞かれていたとは思っていなかったのだろう。

みんな顔が真っ青だ。


「……今の話、どういう意味ですか?」


声が、震えてしまう。

手も身体も、震えてしまう。

怖い。自分のことをよく思っていない人に話しかけるのは、すごく怖い。

だけど、湊くんのこと、誤解されたままなんて、もう耐えられない。

深呼吸をして、手をぎゅっと握りながら顔を上げた。


「湊くん……川上くんは、みんなが思ってるような怖い人じゃない」

「え……」

「何それ……」

「わたしは脅されてないし、助けなんていらない。川上くんはわたしの友だちだから」


はっきりそう告げると、


「え、友だち?」

「やっぱそうなんだよ……」

「だから言ったじゃん……川上くんと友だちとか、ヤバくない?」


と焦ったような言葉が聞こえた。