「おはよー」

「おはよう、夏休みどこ行ったー?」

「海行った時の日焼けのあとがまだヒリヒリするんだけどー」

「うわ!お前真っ黒じゃん!日焼けしすぎだろ!」


新学期。

久しぶりの学校に行くと、いつもならもっと遅く来る生徒たちがすでに登校していた。

久しぶりに友達に会うから早く学校にきたのか、話題が尽きないようでみんな楽しそう。

わたしはと言えば、相変わらず一人でぽつんと席に座っていた。

結局湊くんのお家訪問の後は、予定が合わずに我が家に湊くんが来ることはなかった。

それどころか忙しいようで会えてもいなくて、なんだか寂しくてたまらなかったこの数日。

毎日のように会っていたからか、数日会わないだけでかなり久しぶりな気がして少しドキドキしていた。

今日の時間割は……始業式とホームルームだけか。

ぼーっとしているうちに時間は過ぎていき、気が付けば始業式のための移動の時間になる。


「みんな揃ってるかー?行くぞー」


……まだ湊くんが来てない。

そう言えればいいんだろうけど、やはりどこかで噂されるのを怖がっているわたしにそんな勇気は無い。
それに悔しさを覚えていると、


「あ、間に合った?」


と聞き覚えのある声が響いてそちらをふりむいた。

そしてその姿が目に入った瞬間、わたしは驚きすぎて目を見開いたまま固まってしまう。