キミと踏み出す、最初の一歩。

「千春ちゃん、湊と仲良くしてくれてありがとうね」

「え……?」

「この子、美雨のためとは言えこんな見た目になっちゃって。早く黒染めさせたいんだけど頑なにしなくてね。だから学校で浮いてるのも知ってるし、先生方からの評価が悪いのも知ってるの」

「仕方ねーだろ。この色気に入っちゃったし」

「あのねぇ!気に入ったからって金髪にしていいわけじゃないってわかるでしょ!?学校にはね!校則ってもんがあんの!」

「はいはいわかってるって。その内戻せばいんだろー」
「その内じゃなくて今すぐにしなさいって言ってるの。じゃないと本当に内申点つかないわよ!?」


やっぱりおばさんは湊くんのことを心配しているようだ。

そりゃあそうだろう。

小学校までは少しやんちゃなだけの子どもだったはずなのに、妹のためとは言え急に金髪になってしまったのだから。

それからしばらくお説教が始まってしまい、わたしは唐揚げを頬張りながら二人を見比べる。

わたしもお母さんとたまに喧嘩をすることはあるけれど、こんな激しい言い合いはしたことがないから、ちょっと新鮮だ。