「白咲さん、クレープ屋あるよ。買う?」
「うん!買いたい!」
「じゃあ行こう」
神社の中はかなり賑わっていて、たくさんの屋台がひしめき合っている。
すれ違う人たちをよけながら目的の屋台を目指すのはなかなか大変だ。
川上くんがクレープ屋さんを見つけてくれて、そこに向かって歩いていちご生クリームのクレープを買う。
川上くんもチョコバナナのクレープを買って、端の方で一緒に食べる。
離れた手は、気がつくと手汗がすごくて川上くん気持ち悪くなかったかな……と不安になる。
だけど、
「ごめん、俺手汗やばいの忘れてた。べちゃべちゃじゃない?大丈夫?」
本気で焦ったようにそう言うから、全く同じことを考えていると知り笑ってしまった。
「わたしも手汗酷いの。だからおあいこ」
手のひらを見せると、ホッとしたように川上くんも手のひらを見せてくれた。
食べ終わると、また手を繋いで屋台の中を歩き出す。
それから予定通り型抜きの屋台を見つけて何十分も楽しみ、わたしは十円、川上くんは五円をゲット。
「くっそ、俺ももうちょっとだったのに!」
「惜しかったね。あの角難しかったもん」
「めちゃくちゃ悔しいー!あ、あっちのお好み焼き食べていい?」
「うん、いいよ」
本気で悔しがる川上くんはわたしの手を引きながらお好み焼きの列に並んだ。
その後もお互いの食べたいもの、やりたいものを次々と回っているとあっという間に時間が経過していた。



