そして、夏祭り当日。

わたしは約束の四時より三十分も前に神社の前に着いたしまっていた。

慣れない浴衣のため少し早めに家を出たとはいえ、さすがにちょっと早すぎたようだ。

今日の午前中は準備をしたかったため図書館での勉強はお休み。

夏休みに入ってから平日は毎日図書館に行っていたから、今日家にいるのがなんだか不思議な感じがしたくらいだ。

待ち合わせ時間が近くなると何度も時計をチラ見してしまい、お母さんには笑われてしまった。


「そんなにそわそわしちゃうくらいなら、早めに行ってきたら?」


と言われて、頷いて家を出てきたのだ。

もちろん川上くんが来ているわけもなく、わたしは神社の鳥居の前で立ち止まった。

川上くんが言っていた通り、今日のお祭りはこの地域では一番大きなお祭りらしい。

お祭り自体は昨日の朝から始まっていて、今日の夜まで行われるらしい。

花火が上がるのは今日の夜で、それを見るために夜になるとさらに人混みがすごいことになるんだとか。

花火は見たいけど、人混みはちょっと怖いな……。

そんなことを思いつつ、神社の中から響いてくるたくさんの人の笑い声や話し声に心が躍る。

わたしの横を通って神社に入って行く人も、みんな笑顔で楽しそう。

わたし、変じゃないかな。

浴衣、着崩れたりしてないかな。

変な風にどこかめくれてたりしてないかな。

大丈夫かな、髪型もメイクも、変じゃない?