「ふふっ……」

「え、今笑うところあった……?」

「ごめっ……なんか川上くんって、本当ギャップがすごくて……」


くすくすと笑っていると、川上くんは不貞腐れたように


「……あんま笑うなって。これでも緊張してんだから」


とわたしにスマホを差し出す。


「ああもうっ、緊張して損した!白咲さん、早く連絡先!」

「ふふっ……はい、わかりました」


鞄から出したスマホを取り出して連絡先を交換する。

メッセージアプリの友だち欄に"minato"という名前が追加された。

思えば家族以外で誰かと友だち登録したのは初めてかもしれない。

画面に増えた名前が嬉しくて、スマホを握りしめる。


「何かあったら連絡する」

「はい。わたしも」

「……何もなくても連絡してもいい?」

「え?」

「せっかく友だちになったんだし、勉強以外のことでも話したいじゃん?」


その言葉に、わたしは驚いて川上くんの顔を見つめる。


「……とも、だち?」


今、聞き間違いじゃなかったら、わたしのこと友だちって言った?

いや、そりゃあ確かに友だち登録はしたけど……。

でも、これはあくまでも連絡を取るためで、アプリの中の話で……え……?


「え、違った?もしかして友だちだと思ってたの俺だけ?」


困ったように苦笑いをする川上くんに、わたしは焦って何度も首を横に振った。