「ん?どうかした?」

「……ううん。お茶美味しいです。ありがとう」

「どういたしまして。俺の方こそ勉強教えてくれてありがとう」


お礼を言い合って、どちらからともなくまた歩き始める。


「にしても、夏休みの宿題多すぎない?もしかして俺だけ?」

「いや、みんな同じ量ですよ。でも今日で英語も結構進んでたから大丈夫です」

「英語は白咲さんのおかげで最近わかるようになってきたからいいんだよ。問題は俺の苦手な現文と歴史系だなー」

「あれ、川上くんって歴史系も苦手?」

「なんか、暗記系が苦手だなって最近わかってきたんだよね。歴史って結局暗記多いじゃん」

「あぁ……確かに」


そんな話をしながら歩いていると、いつもの分かれ道まできていた。

そこで立ち止まり、向かい合う。


「……じゃあ、また」


また明日。

そう言おうとしたところで、川上くんがどこか言いにくそうに


「白咲さん」


とわたしを呼ぶ。


「はい」

「あのさ……白咲さんって、スマホ持ってる?」

「あ……はい。持ってます」

「良かったら、連絡先とか……聞いてもいい?ほら、何か用事があったりして図書館いけない日があったりしたら、連絡手段無いと困るから……」


照れたようにわたしにスマホを向ける川上くん。

キラキラとした金髪と、ほんのり赤くした顔のコントラストが綺麗で、思わず笑ってしまった。