「ひゃっ……」

「……あ、悪い。つい妹と同じ感じに……なんか、白咲さん見てると他人の気がしなくて」

「だ、だいじょうぶです……」


ボサボサにされた髪の毛を手櫛で整えるけれど、心臓が破裂しそうなくらいにうるさい。

なんだろう、この気持ち。

川上くんが怖い人じゃないってわかったから?

さっきの表情がかっこよかったから?

ここ何日か、ずっと心臓がうるさい。

川上くんの笑顔を見ていると、特に。


「もうこんな時間か。プリントも終わったし、そろそろ出してくるよ。白咲さん。毎日本当ありがとう。白咲さんのお陰で前回の期末よりはいい成績取れそうな気がするわ」

「いや……わたしは何も……」

「白咲さんのお陰だって。勉強会も終わりだし、どうせなら今日も一緒に帰ろーぜ。これ出してくるからちょっと待ってて」

「え」

「五分で戻ってくるから!」


そう叫んで走って行った川上くん。

わたしは自分の席に戻り、リュックをぎゅっと抱きしめる。

今日も一緒に帰れるのが嬉しいと思う反面、明日からは川上くんと接点がなくなるんだなと思うと、どうしようもなく寂しい気持ちが込み上げてきた。