キミと踏み出す、最初の一歩。

そして迎えた、終業式の日。

朝から体育館で校長先生のありがたい話を聞いたけれど、そこに川上くんの姿は無かった。

今日も安定の遅刻だろうか、どこかでサボっているのか。

なんにせよ、なんだかもったいないことをしているなと思ってしまう。

そんな状態で終業式を終え、教室に戻ると席で川上くんが眠っていた。

ホームルームで山田先生が話している間もずっと眠っていて、あっという間に一学期が終わる。

クラスのみんなが


「夏休みだー!」


と叫びながら休み中はどこに行くかと遊びの予定を立てながら帰っていく姿を横目に、わたしはもう一度川上くんに目をやる。

まだ眠っているのか、呼吸に合わせて規則正しく動く背中。

それをしばらく眺めているうちに、あっという間に教室にはわたしたち以外誰もいなくなってしまった。

居残り課題のプリントも残り一枚。

まとめて今日提出するはずだから、そろそろ起こさないと。

ゆっくりと立ち上がり、川上くんの席へ向かう。

音を立てないように川上くんの前の席に座り、寝顔をのぞいてみた。

そこらへんの女の子より長そうなまつ毛と、赤ちゃんみたいにツルツルのお肌。


「……やっぱり、王子様みたい……」


そのサラサラの金髪に少し触れてみたいだなんて思ってしまって伸ばした手。

だけど、やっぱりそれはできずにすぐに引っ込めた。