「あの……」

「ん?どうした?」

「川上くんって、元々頭いいんですか?」

「え?んなわけないじゃん。白咲さんの教え方が上手いんだろ。わかりやすいし」

「あ……ありがとうございます……」

「あれ、今照れるポイントあった?」

「ありました……」

「ははっ、ごめんごめん」


川上くんは見た目と噂に反して、喋ってみると普通の男の子のように感じる。

問題が気持ちよく解ければ嬉しそうに笑うし、こんなわたしとも普通に喋ってくれる。

だからだろうか、それともあがり症だと理解してくれているからだろうか。

わたしも川上くんが相手だと、比較的会話がしやすいと感じた。


「終わった!長文全部楽に解けた!白咲さんすげぇな!マジでわかりやすい!ありがとう!」

「そんな、川上くんが頑張ったからですよ」

「そうか?さんきゅ」


プリントの丸付けが終わった後、川上くんは嬉しそうに手のひらをわたしに差し出した。

思わず首を傾げるものの、


「こういう時は、ハイタッチするもんだろ?」


なんて笑って、わたしの右手を取ってパチンと合わせる。

多分、川上くんにとってはなんてことない動作。

だけど、わたしにとってはそんな"友だち"みたいなことが、たまらなく嬉しくて。

涙を堪えて笑いながら、まだ温かさを感じるその手をぎゅっと握った。