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次の日の放課後。

「白咲さん、よろしく」

「よろしくお願いします……」


わたしは予定通り、誰もいなくなった教室で川上くんと二人で机を囲んでいた。

律儀に頭を下げてくる川上くんに、わたしも頭を下げる。

川上くんは今日こそ、と昼休みにプリントをもらってきたらしく、


「山田、俺がマジで来るとは思ってなかったみたいで熱でもあんのかって言われたわ」


川上くんがそう愚痴をこぼすくらいには山田先生は驚いたようだ。


「つっても、プリントはもらってきたけど何から始めれば良いかわかんねぇな」

「えっと……川上くんの得意科目は?」

「数学はそれなりに得意な方だと思う。数学は大体授業も起きて聞いてるし」

「じゃあ、苦手科目は?」

「現文。眠くなるし何言ってんのかよくわかんない。あとテストの長文、あれ読んでるだけで時間経ってるから問題解く時間足りない」

「あぁ……あれは長文をしっかり読む必要はなくて、文章の中に大体答えがあるからそれを探すだけにした方が早いですよ」

「え、そうなの?」

「はい。わたしはいっつも流し見してます」

「マジかよ……」

「期末テストの前半は漢字の書き取りがメインだったし、多分それで点取れます。ちょうど現文のプリントあるし、やってみましょう」


そんな流れで始まった勉強会。

川上くんはやっぱり想像以上に真面目に取り組んでいて、しかも教えればすぐに理解してくれるからわたしの方が驚く。