「わかりましたっ……でも、とりあえず夏休み前までの間だけですからっ!」

「マジ!?助かる!ありがとう!」


川上くんはそう笑って、わたしが持っていたノートも奪うように取ると、そのまま教室に入って教卓に置いてくれる。

そしてそこから一冊のノートを取ると、わたしの元に戻ってきて渡してくれた。


「はいこれ。じゃあ、仕方ねぇから今から山田のとこ戻るわ。今日の放課後から頼んでも良い?」

「へ!?あ、……はい」

「ん、じゃあ後で。勝手に帰んなよ。教室残ってろよー」


川上くんはそう言って、わたしの頭をポンと撫でたかと思うと小走りで廊下の向こうに消えていった。

わたしはその場からしばらく動くことができず、


「……あ、あの……大丈夫?」

「うん……。大丈夫、です」


話しかけてきてくれるクラスメイトにも、そう愛想笑いを返すことしかできなかった。