「白咲さんって部活やってんの?」

「や、やってません……」

「放課後に用事とかは?」

「特には……」


答えてから、習い事でもしてるって嘘をつけば良かったと後悔した。

え、なに?この感じ。もしかして、山田先生が言ってたその居残りの課題の話?え?嘘でしょ?


「頼む!俺に勉強教えて!」

「え……あ……」

「夏休みに入るまででいいから、……いや、欲を言えばテストで点取れるくらいまで教えて欲しいところだけど!でもとりあえず!居残りの課題分だけでも!俺一人じゃ絶対終わんねーから!」


じゃあなんで山田先生にやるって言っちゃったの!?


そう突っ込みたいけれど、言えるわけもない。

周りからはなんだなんだ?とわたしたちの会話を盗み聞きしようとする人たちがたくさんいて、注目されているという事実にわたしは緊張が増していく。

やばい、顔がまた赤くなっちゃう……。

やだ、誰にも見られたくない。

話を早く切り上げないと。

そう思ったわたしは、もう半分ヤケクソみたいなものだった。