「え、なんで……?」

「川上湊が学校いる……」

「てか、なんか運んでなかった?」

「え、あの一緒に歩いてた子大丈夫?」

「いじめ?パシリ?」

「ほら、あの子も確か二組で浮いてるって……」

「あぁ、なるほどね……」


あからさまにわたしたちを見て噂する人たちの声に、わたしはどんどん下を向く。

川上くんはわたしのことを手伝ってくれているだけなのに、わたしと一緒に歩いているだけでこんなことを言われているんだ……。

わたしがクラスで浮いているとか、今はそんな話はどうでもよくて。

……なんか、よくわかんないけど、嫌だな……。

そう思った。


「でも確かに最近遅刻しすぎてやべぇんだよな。期末のテストも全然意味わかんなかったし。山田の言ってることも一理あるよな……。白咲さんはどう思う?」

「……え?あ、え?」


急に名前を呼ばれて、驚いて顔を上げる。

川上くんは周りの噂話なんて興味が無いどころか聞こえていないかのように、普通にわたしに話しかけてくる。


「だから、山田が言ってたこと。やっぱテストの点とれないと、今後やばい?俺私立は無理だから、一応公立行きたいんだけど」

「あ……それは……それなりにはやばいかと……公立目指すならなおさら。この学校は中一から中三まで、毎年の内申点の合計でランクが決まるらしいので……」

「え、マジ?中三の時の成績だけじゃねぇの?」

「えっと、学校とか地域によってはそうらしいけど……この学校は昔から三年間の内申の合計だって山田先生が言ってました」


確か入学してすぐのホームルームで言ってたと思うんだけど……。

あれ、もしかしてあの時、川上くんいなかった?それか寝てたのかな……。