「あ、あの!」

「ん?どうした?」

「やっぱりわたし……全部一人で持てるので、ここで大丈夫です。ありがとうございましたっ」


職員室を出てから数メートル。

川上くんの後ろをついていくと待っていてくれて、自然と隣を並んで歩いていた。

川上くんはすごく背が高くて、中一なのにもう百七十近い身長があるらしい。

その高身長も、変に目立ってしまう要因なのだと思う。

だけど、そんなことを考えていた時にふと今の状況を客観的に見て、やっぱりおかしくない!?と気が付いてどうにか川上くんに話しかけたのだ。


「なんで?別にいいよこれくらい」

「で、でも……」

「それに、俺あんたに感謝してるくらいだし」

「え?」

「山田の話って長ぇだろ?しかもあいつ、良いように言ってるけど結局俺に内申つけるつもり無いのわかりきってるし。俺のせいで自分が教頭にぐちぐち言われんのが嫌なだけなんだよ。だからあんたのお陰で抜け出せて良かったよ。さんきゅな」


ニカっと笑った川上くんに、わたしはまた胸がキューっとした。

昼休みの廊下は、普通にみんな歩いていたり喋っていたり、人が多い。

だけど、みんな川上くんを見た瞬間にサッと壁側に避けていく。