ジメジメとした梅雨が終わり、今度は真夏の太陽を恨めしく感じる、七月の初め。


「あっつー……」


こめかみの辺りから勝手に落ちていく汗を拭いながら、わたし、白咲 千春(シロサキ チハル)は学校までの道のりを歩いていた。

制服って、なんでこんなにムレて暑いんだろう……。

髪の毛も結んでくれば良かった。


朝の天気予報で今日は"猛暑日"だと言っていた。

頭の中は真夏の暑さに対する文句しか浮かんでこない。

とにかく涼しさを求めて急いで向かった学校。

玄関に入ると、冷房が効いていてようやく息ができたような気がする。

わたしは一年二組の教室に向かい、誰もいないのを確認して自分の席に座る。

リュックを机の上に置いて、そこに顔を乗せてから窓の外に視線を向けた。