夏も真っ只中。

そんな日のバスはやけに寒い。

乗車した瞬間は生き返る心地だけど、5分もすれば汗が冷えて、必要以上に寒く感じてしまう。

私は結構寒がりだ。

それでもここ一週間は車内の低い温度に感謝している。

「三の橋前、三の橋前、止まりまーす。」

いかにも優しいおじちゃんという運転手さんの声が響き、ぷしゅーと音が鳴り、扉が開く。

じゃらじゃらときっちり210円の小銭を入れる彼。

「おはよう」
「おはよう」

彼の自転車は一週間前から故障中だ。

二人掛けの席に座る。

通路側には少し隙間が空いていた。

彼は暑がりだから、冷たいものに触れていたいらしい。



冬になったら、寒がりだって言うくせに。