体育終わりに、「暑いね」「夏だね」そんな会話をする。

当たり前でありきたり、毎回の恒例の会話。

本当に暑い。

内側からあたたかい。

高3の夏休みの直前。一学期がもうすぐ終わるところ。

あと何回こうして一緒にいられるのだろうか。


大人になったらきっと、ボールを汗だくになりながら追いかけて、かっこいい人を見てキャーキャーはしゃぐことはなくなってしまう。

まだ子供でいたい。

みんなで輝いていたい。

大きな窓から陽が降り注いでいる廊下を歩き、エアコンのきいた教室へと急ぐ。

教室につき、みんながそれぞれ自分の席に戻る。

荷物を片付けるために当たり前だけど、少し、寂しくなった。


「ねえ、今日アイス買って帰ろ」

魅力的な提案だ。

片づけを終えた友達がいつの間にか後ろの席に陣取っていた。


大丈夫。まだ時間はある。

大きな返事をして、私は振り向いた。


まだ、子ども。

もうすぐ子供ではいられなくなってしまうけど、まだ、こどもでいいよね。

心の中で、そっとつぶやいた。