いらないものをひとつずつ捨てて、無駄をなくしたかった。

思い入れのあるものでも、役に立たないものだったら迷いなく捨てた。

思い入れなんて自分にはもったいないと思った。


そうやって一つ一ついらないものを捨てて、剥がして、脱いで、

そうすれば必要なものに出会えると思った。


でも違った。

それはまるで、幼いころにむいた玉ねぎのようなものだった。

茶色の部分をはがして、薄い緑が現れた。

でもまだ、限度がわからない私はそれすら捨ててしまった。

むいてもむいても同じ薄い緑を身にまとっていて際限なんてなかった。

あの時は確か、どこまでも玉ねぎをごみと認識してしまう私に母が気づいてくれたんだ。


でも今は。

部屋には布団と猫が一匹。

猫のご飯はストックされているのに、冷蔵庫の中には冷えた水があるだけだった。



ああ、そうか。

気づけたよ、お母さん。今度は自分で。


私が一番いらないと思っているのは自分自身だ。