「かいとくん。その、ごめん、ね。」
「そうか。まあ、わかっていた。」
かいとくんは、ちょっぴり寂しそうな顔。
「それと……くららちゃんは、かいとくんのこと、好きって言ってた。」
「く、くららが……?」
「うん。言ってた。あ、言ったってことは、秘密だよ。」
「そうか、くららが。あのくららが……俺のこと……そうか……」
独り言のように、ぶつぶつ呟くかいとくん。
「くららに、今度……思い、聞いてくる。」
「ほへっ!?」
え、今なんて!?
「応援、してくれるか?」
「ももも、もちろん!!くららちゃん、絶対喜ぶよ!?」
「そうか……じゃあ、またな。」
「うん、また明日。」
よかったね、くららちゃん。
そう思いながら、私は考える。
『また明日』この言葉は、いつまでかいとくんと続けられるかはわからない。
でも、ちゃんと自分の想いを話せた。ちゃんと、伝わっているはずだ。
いつ話せるかもわからない。告白を、断っちゃったから。
「でも、いつか、話せるよね、きっと。」
私は、帰りぎわの夕日を見て、そう呟いた。
くららちゃんも、幸せだといいなあ。
好きな人から思いを聞かれるとか、絶対幸せだよね。
「おーい、ゆみちゃーん!!」
「せ、先輩!」
「一緒に、帰ろうか。」
「はい!!」
そう言って、いつも通り帰る。
このいつもが、いつまで続くかはわからない。
でも、この幸せは、いつまでも、記憶に残る。
そして、記憶から、『思い出』となる。
私の幸せは、いつまでも消えないものとなった。